ローマカミツレ ローマンカモミール （ キク科ローマカミツレ属 ）

ヨーロッパの代表的な民間薬 カモミールには、２種類のキク科の頭花が利用されてきました。 １～２年草の カミツレ （ ジャーマンカモミール German chamomile ） と、 本種 ローマカミツレ （ ローマンカモミール Roman chamomile ） です。 常緑の多年草で、ヨーロッパからアジアまで広く自生し、外見は似ていても分類の属は異なります。 株分で増やすことができても、成長が遅いとされ、また暑さに弱いためか、国内ではカミツレの方が多く見られます。 ローマカミツレ は、花期を除くと草丈が低く、茎は横に広がって先端を斜上します。 葉は互生、羽状複葉で細く全裂し、裂片は線形、光沢のある緑色とリンゴに似た香りがあります。 花期は５月から７月にかけて、茎は高さ３０～５０cmになり、花茎頂に頭花をつけます。 花茎の分岐はカミツレより少なく、その分（？）頭花の直径は２～３cmとカミツレよりもやや大きくなります。 多数の黄色の筒状花の周囲に白色の舌状花が一列つき、成熟するとカミツレと同様に花床が隆起しますが、隆起の内部は中空にならないという違いがあります。

ローマカミツレ Chamaemelum nobilis　syn．Anthemis nobilis 東京都薬用植物園

ハーブティーとして頭花が利用されます。 花弁が開いている時期に採取して、すぐに陰干したものに、湯をそそいで飲用します。 カミツレとは精油成分の組成が異なりますが、身体が温まってリラックスでき、芳香はストレス解消や不眠によいとされます。 安全で効果的なハーブといわれますが、やはり適度に利用することが必要です。 一般的には、① ヨモギなどのキク科の植物にアレルギーのある人、また、喘息の人は禁忌、 ② 妊娠中の飲用は控える、 ③ 鎮静薬や抗血液凝固薬との併用は、薬剤の作用を必要以上に強める恐れがある、といった注意事項があげられています。

葉

属名：Chamaemelum、地面の chamai ＋ リンゴ melon、リンゴに似た芳香に由来とみられる  chamomilla と同義。 種小名：nobilis、気品のある、高貴な という意味。 シノニム属名：Anthemis、花anthos から とみられる。 2020.11.-2024.05.20.Re

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