トウキ 当帰 （ セリ科シシウド属 ）

基原植物名 トウキ

生薬名 トウキ （ 当帰 ） [ 局 ]

用途 漢方薬

トウキ 当帰 は、日本では本州の中部地方以北の山地に産し、高さ４０～９０cm程度になる大型の多年草です。 全体に無毛で、茎は直立し、分枝して株立ちとなり、全草に独特の強い芳香があります。 葉は互生して羽状に深裂し （ ２～３出複葉回３出複葉出複葉 ）、裂片は披針形でさらに浅中裂して、先端は尖ります。 縁には鋭い鋸歯があり、表面は濃緑色で光沢があり、長い葉柄がつきます。 葉柄の基部は鞘状になって茎を抱き、葉柄と茎は赤味を帯びます。 初夏から夏にかけて、茎頂に複散形花序を出し、白色の小さな５弁花を多数つけます。 雄しべは５個あり、初め花弁とともに内側にまがり、開花時に立ち上がって展開し、雌しべは１個、子房は２室に分かれます。 熟すと中央部から２分果するセリ科特有の懸果 （ けんか ） になり、それぞれが長さ５～６mmの長楕円形の果実になります。

トウキ 当帰 Angelica acutiloba 撮影・東京都薬用植物園

和名は漢名 ※１ の音読みからつけられています。 漢名の由来には諸説があり、いずれもトウキを服用した女性が、健康を回復するという内容です。 元気になって、いるべきところに 「 当 （ まさに ） 帰る 」 という言葉で締めくくられています。 ※１ 漢名 ： 中国でいう トウキは、別種の カラトウキ （ 唐当帰 ） Angelica sinensis のこと。 また韓国で使用するトウキも別種の Angelica gigas で、日中韓それぞれ別の種を基原植物としている。 生薬 トウキ の基原植物は、近畿・大深地方の系統 （ 大和当帰、大深当帰とも ） と、北海道で栽培する ホッカイトウキ （ 北海当帰 ） A．acutiloba var．sugiyamae の２系統があります。 根を薬用とし、強壮、鎮痛、鎮静、補血に効果があり、特に婦人用の生薬として重要な地位を占めています。 属名：Angelica 、天使の という意味。欧州で使う セイヨウトウキ Angelica archangelica が、  薬効が著しいとしてつけられた。archangelus は、大天使のような の意。 種小名：acutiloba 、鋭形の acutus ＋ 裂けた lobus から、尖った裂片の という意味。 2013.-2015.-2021.07.-2025.06.12.Re 参考書籍等  「 生薬単 」、「 新訂生薬学 」、「 家庭で使える 薬用植物大事典 」、他

トウキ　 （ 左から ）徐々に広がる小花 ／ 未熟な果実　撮影・東京都薬用植物園

ミヤマトウキ 深山当帰 （ セリ科シシウド属 ）

トウキ の高山型の亜種である ミヤマトウキ 深山当帰 は、北海道や本州中部地方以北の亜高山～高山帯に分布する多年草です。 別名の イワテトウキ ※１ 岩手当帰や ナンブトウキ 南部当帰 は、岩手県または南部地方という地名に由来します。 岩礫地などに生え、高さは２０～５０cmになり枝を分けて広がり、全草に香りがあります。 ※１ イワテトウキ ： 新牧野日本植物圖鑑では、ミヤマトウキを別名としている。 葉は２～３回３出複葉で裂片は披針形、先端は鋭く尖り、基部は丸く、縁に細かい鋸歯があります。 小葉や裂片は トウキ よりも幅が広く、葉の表面は光沢があり無毛です。 葉柄の基部は鞘状に膨らんで茎を抱きます。 ７月～８月に、茎頂に直径１０cmほどの複散形花序を出し、多数の小花をつけます。 小花は直径３mmほど、白色の５弁花で、雄しべは５個あります。 果実は長さ５mmほどの長楕円形です。 亜種名：iwatensis 、岩手の という意味 2025.06.13.New 参考書籍等  「 新牧野日本植物圖鑑 」、他

ミヤマトウキ 深山当帰 Angelica acutiloba subsp. iwatensis 撮影・白馬五竜高山植物園

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