ナンテン 南天 （ メギ科ナンテン属 ）

基原植物名 ナンテン

生薬名 ナンテンジツ （ 南天実 ） [ 局外 ]

用途 漢方薬など

ナンテン 南天 は、関東以南の温暖な地域に自生する常緑低木で、根元から細い幹を叢生して、高さ１～３ｍになります。 和名は、漢名の南天竹の 「 南天 」 の音読みからきて、語呂合わせで、難 （ ナン ） を 転 （ テン ） じる縁起ものとして、庭木にも利用されています。 古くから栽培されているため、中国からの渡来品が逸出したのか、もとから自生していたのか不明といわれます。 葉は互生する ３回３出羽状複葉で、新しい茎に、まとまってつき、小葉は披針形の全縁、先端は鋭く尖り、基部はクサビ型になります。 葉を大きく展開 ※１ し、小葉の数が１００以上、長さ幅とも６０cm以上のサイズも普通に見られます。 ５月から６月に、茎頂に大きな円錐花序を出し、多数の白い小花をつけます。 小花は直径６mmほど、小さなガク片が多数と、花弁状の花被片が６個、雄しべは６個あり、葯は黄色です。 雌しべは１個、子房は白色で大きく、柱頭は淡い緑色で、花後には赤味を帯びます。 果実は直径６～７mmほどの球形で、晩秋から初冬に赤く熟し、先端には突起状の花柱の痕跡が残ります。 果皮は薄く、中の種子は半球形で淡褐色をしています。

ナンテン 南天 Nandina domestica 撮影・東京都

乾燥した果実の生薬名を ナンテンジツ （ 南天実 ） といい、消炎作用のあるアルカロイド成分 ※２ が含まれ、鎮咳やうがい薬に用いられます。 白い果実のシロミナンテン N．domestica 'Shironanten' も、同様の成分が含まれます。 一般的に、果実の赤い色は、鳥に対するアピールとみられますが、ナンテン の果実の成分は、小鳥にも毒性があります。 そのため小鳥たちは摂取量をコントロールして、害にならない程度に少量づつ食べているとみられています。 ※１ 葉を大きく展開 ： 数枚を計測した結果で、種の平均値ではない。 ※２ アルカロイド成分 ： ナンテンジツには、ドーピングで禁止される成分も含まれる。 属名：Nandina 、ナンテン （ 南天 ） から。 種小名：domestica 、国内の、その土地産の という意味。 2003.-2012.-2021.07.-2025.05.03.Re 参考書籍  「 ワイド図鑑 身近な樹木 」、「 家庭で使える 薬用植物大事典 」、「 新訂生薬学 」、「 したたかな植物たち 」

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