ヤマグルマ 山車 （ ヤマグルマ科ヤマグルマ属 ）

ヤマグルマ科は ヤマグルマ 山車 とスイセイジュの２種で２属を構成する系統的に孤立している科とされます。 被子植物の持つ導管がなく、仮導管を水分通道組織としている特徴があります。 裸子植物の形質を持つ広葉樹として知られますが、近年では、２次的に導管を消失したものと見られています。 ヤマグルマ は 東北南部から台湾まで分布する常緑高木で、急斜面や岩場などに生えて、樹高は１０～２０ｍになります。 側枝は仮軸分枝 ※１ （ 仮頂芽型 ） を繰り返して横に広がり、幅の広い樹冠を形成します。
葉は互生し、葉身は長さ５～１４cmの倒卵形、先は尾状または短く突き出て尖ります。 革質で厚く、両面とも無毛、表面は濃緑色で光沢があり、葉先の２／３程度には鈍鋸歯があります。 葉柄は３～８cm、枝先では節間が詰まり、葉は小さく葉柄は短くなって輪生状につきます。 古い葉は落葉するときに、赤く紅葉することがあります。 ４～５月ごろ、枝先の総状花序に、２０輪ほどの黄緑色の花をつけます。 花は両性花で花弁がなく、直径１cmほど、雄しべは多数、雌しべは５～１０個が輪生してつきます。 ※１ 仮軸分枝： 本来の軸の先端 ( 頂芽 ） が生長を止めるため、側芽が代わって生長を続けること。

ヤマグルマ 山車 Trochodendron aralioides 撮影：つくば実験植物園他

果実は、袋果の集まったもので、１０～１１月ごろ、緑褐色に熟します。 袋果の径は７～１０mm程度、上部が裂開し、多数の微小の種子を散布します。 和名は、枝先の葉の様子からとされますが、学名では花の形状を車輪みたてた命名とされています。 別名のトリモチノキは、以前、ヤマグルマからトリモチを作ったことによります。 樹皮を剥ぎ、水に数ケ月つけてから、樹皮の繊維質を取り去ると、粘液質が残ってトリモチが得られるというもので、相当な期間と手間がかかります。 モチノキ （ モチノキ科 ） も同じ理由から名前が付けられています。 現在は、トリモチを使う狩猟は鳥獣保護法違反になります。 属名：Trochodendron 、車輪 trochos ＋ 樹木 dendron。雄しべと雌しべが車状に付くため。 種小名：aralioides 、タラノキ属 Aralia ＋ に似た oides という意味。 2013.06.-2020.04.-2025.02.11.Re 参考書籍  「 ワイド図鑑 身近な樹木 」、「 琉球の樹木」、他

ヤマグルマの紅葉 / 仮軸分枝は、先端のやや下から伸びるため、波打つように見える

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