トウガン 冬瓜 （ ウリ科トウガン属 ）

基原植物名 トウガン

生薬名 トウガシ （ 冬瓜子 ） [ 局 ]

用途 漢方薬

トウガン 冬瓜 は、熱帯アジア地域が原産とみられる、つる性の一年草です。 果実を食用として、平安時代には 加毛宇利 （ カモウリ ） ※１ の名で、国内でも栽培していたとみられています。 茎は円柱形で粗毛を密生し、枝を分け巻きひげを伸ばして広がり、長さ６～７ｍになります。 葉は互生し、葉身は卵形で長さ１０～２５cm、掌状に５～７浅中裂し、裂片の先は尖ります。 基部は深い心形で、縁は鋸歯状になり、裏面には短毛が密生します。 雌雄異花で、初夏から９月ころに、葉腋に雄花か雌花の黄色い花を単生します。 花は直径７～１２cmあり、花冠は５深裂し、柔らかい細毛が密生して、雄花には雄しべが３個あります。 雌花には柱頭が３個つき、子房は長さ２～４cmの円柱形で毛が密生します。 この毛を鴨の羽毛にみたてたのが、カモウリの名の由来といわれます。 ※１ 加毛宇利 ： 本草和名 （ 平安時代、918年 ） に、白冬瓜の和名として載っている。

トウガン 冬瓜 Benincasa pruriens f. hispida ／ synonym B．cerifera 撮影：東京都薬用植物園 （ 左から ）　雄花 ／ 雌花 ／ まだ毛が密生する未熟な果実

果実は長楕円形で、長さ３０cm以上、太さは１５～２５cm、重さは１０Kg以上になることもあります。 熟してくると果実表面の毛が落ちて、滑らかになり、白い蝋状成分 ブルーム ※２ が分泌されます。 ７～９月に白い粉に被われたようになると、収穫して煮物料理などに利用します。 種子は扁平な卵状楕円形をして、長さは１cmほど、淡褐色で多数が入ります。 薬用には、完熟した種子を用い、生薬名をトウガシ （ 冬瓜子 ） といいます。 鎮咳、去痰、利尿などを目的に、大黄牡丹皮湯などの漢方薬に配剤されます。 「 冬瓜 」 の名は、収穫した果実を保存食料として、冬まで置くことができるからといわれます。 他に果実表面の白い蝋状の成分を雪に見立てたとする説などがあります。 別名の 「 トウガ 」 は 「 冬瓜 」 を音読みしたもの、転訛して和名の トウガン になったといわれます。 ※２ ブルーム ： bloom （ 果粉 ） 、果実の水分蒸発を防ぐ。 ブルームを出さない品種もある。 属名：Benincasa 、イタリア貴族、植物愛好家 G．ベニンカーサ Giuseppe Benincasa から。 種小名：pruriens 、かゆい という意味 品種名：hispida 、剛毛のある、粗い毛の という意味 synonym種小名：cerifera 、cera 蜜ろう ＋ fero 運ぶ、もつ、から ロウを生じるもの の意。 2014.-2021.07.-2025.06.14.Re 参考書籍等  「 生薬単 」、「 新訂生薬学 」、「 家庭で使える 薬用植物大事典 」、他

ブルームに被われた果実 ／ 果実の断面と種子 （ 購入品につき品種等不明 ）

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