ドクダミ （ ドクダミ科 ）

基原植物名 ドクダミ

生薬名 ジュウヤク （ 十薬 ） [ 局 ]

用途 漢方・民間薬

ドクダミ は、日本全土に分布する多年草で、半日陰の湿った場所を好みます。 繁殖力が強く、白く長い地下茎で広がって群生し、また独特の臭気があることで嫌われることもあるようです。 茎は赤色を帯び、草丈は２０～４０cmになります。 葉は互生し、葉身は長さ３～８cmの広卵状心臓形、先は鋭く尖り、縁は全縁、全体に無毛です。 質は柔らかく、表面は暗緑色で、葉縁は暗紫色に縁取りされ、長い葉柄があります。 葉柄の基部には大きな膜質の托葉が葉柄を囲むようにつき、縁には短い毛があります。 花期は６～７月、茎頂付近の葉腋に、多数の小花をつけた穂状の花序を出します。 花序柄は２、３cm、花序の基部には、大きな花弁状の白い総苞がふつう十字状に４枚つきます。 小花に花弁はなく、雌しべは１個、子房は３心皮で花柱は３個あり、柱頭は紐状で反り返ります。 雄しべは３個で葯は淡黄色、花糸の基部は緑色の子房の側面に合着します。

ドクダミ Houttuynia cordara 撮影・東京都薬用植物園、他

各小花の下側には、棒状の突起になっている小苞が１個あります。 この突起の小苞が、大きく白い花弁様に変化した品種が、ヤエドクダミ （ ヤエノドクダミ ） で、見た目が涼し気として、観賞用に植栽されることがあります。 ドクダミ特有のにおいが、やや弱いとして効果も弱いという指摘があります。 葉に斑が入る品種を ゴシキドクダミ といい、植栽されることがあります。 こちらは名前の通り、緑色、黄色、赤と葉の色の変化を見られます。

ヤエドクダミ H．cordara forma plena ／ ゴシキドクダミ H．cordara forma variegata

国内の ドクダミ は、３倍体とされ単為生殖で種子をつくります。 種子は淡褐色の楕円体で、表面に網目模様があります （ ３倍体の種子であるため、不稔説もある ）。 繁殖そのものは、地下茎による繁殖が多いようです。

ドクダミは、民間薬として簡単に入手でき、効能もあることから、広く利用されてきました。 独特の臭気の素は、ペニシリンに匹敵する抗菌力がある成分とされ、他にも利尿・抗菌・毛細血管の強化に効果のある成分などが含まれています。 各種の有効成分は、花期に最も充実するため、６～７月に刈り取りを行います。 乾燥させると臭気の元は酸化や揮発をして臭いはなくなり、抗菌力もなくなります。 抗菌力が必要な場合には、清潔な生の葉を揉むなどして使用します。 乾燥品は生薬名をジュウヤクといい、煎じて飲用すると利尿や便通の改善などに効果があり、動脈硬化の予防になるともいわれます。 ジュウヤクの名称は、十の薬効があるからという十薬説、重要な薬だからという重薬説、他に苞が十字になっているからという説もあります。 和名は、「 毒痛み 」 や 「 毒を矯める 」 など、毒を制するといった意味合いの言葉が由来といわれています。 他にも 「 毒を溜める 」 からなど諸説あります。 属名：Houttuynia 、オランダの自然科学者 Martin Houttuyne に因む。 種小名：cordara 、心臓形の という意味 品種名：plena 、たくさんの、八重の plenus という意味。 品種名：variegata 、斑入りの という意味。園芸品種名：cv．Variegataとする見方も 2008-2012-2020.07.-2025.06.05.Re 参考書籍  「 生薬単 」、「 新訂生薬学 」、「 ワイド図鑑 身近な山野・雑草 」、「 家庭で使える 薬用植物大事典 」、他

ヤエドクダミの苞の変異

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