テンダイウヤク 天台烏薬 （ クスノキ科クロモジ属 ）

基原植物名 テンダイウヤク

生薬名 ウヤク （ 烏薬、天台烏薬 ） [ 局 ]

用途 漢方薬

テンダイウヤク 天台烏薬 は、中国原産の常緑低木で、陽当りを好み樹高は３ｍ程度、幹は叢生します。 江戸・享保年間に渡来したとされ、暖地で栽培される他、各地で野生化もしています。 葉は互生し、広楕円形で長さ５～８cm、先端は細くとがり、薄い革質で全縁、葉縁をやや裏側に巻きます。 表面は３本の葉脈 （ 三行脈 ） が目立ち、光沢があって、裏面は灰白色です。 花期は３月～４月、枝先の葉腋に散形花序をだし、淡黄色の小花を多数つけます。 雌雄異株で、小花は花被片６個、雄しべ９個、雌しべ１個からなり、雌花は退化した雄しべが多数つきます。

テンダイウヤク 天台烏薬 Lindera strychnifolia 撮影・東京都薬用植物園、他

雌株につく果実は楕円体で、秋に黒く熟します。 烏薬 （ うやく ） の名は、この実がカラスのように黒くなるからという説があります。 「 天台 」 は、中国・天台山の産出品が良品であったことに由来するとされます。 テンダイウヤク の根は、円柱状に肥大して、樟脳のような芳香があります。 国内では芳香性健胃整腸などを目的に漢方薬に用いられています。

テンダイウヤク 果実 ／ 叢生する幹 撮影・小石川植物園、他

テンダイウヤク の渡来については、日本各地に 徐福伝承 が残されています。 言い伝えでは、約2200年前、徐福は秦の始皇帝に不老不死の霊薬を探すとして船出し、日本で天台烏薬を見つけたというもの。 反対に、中国から持ち込み、日本に広めたという話、また、霊薬入手を名目に、男女3000人と日本へ逃れて集団移民したなどの諸説があります。 属名：Lindera 、スウェーデンの植物学者  ヨハン・リンデル Johann Linder に因む。 種小名：strychnifolia 、マチンのような葉の という意味。  マチンの葉は対生、テンダイウヤクは互生。 2013-2020.07.-2025.06.15.Re 参考書籍等  「 生薬単 」、「 家庭で使える 薬用植物大事典 」、  「 新訂生薬学 」、他

マチン Strychnos nux-vomica

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