ヌルデ 白膠木 （ ウルシ科ヌルデ属 ）

基原植物名 ヌルデ

生薬名 ゴバイシ （ 五倍子 ）

用途 製造原料

ヌルデ は、平地から低山などで、ふつうに見られる落葉小高木で、アカメガシワなどと並ぶパイオニア植物 ※１ のひとつです。 林縁部に多い典型的な陽樹で、和名は、幹を傷つけると出てくる樹液を、塗料としたことに由来するといわれています。 葉は互生し、奇数羽状複葉で小葉は楕円形～卵形で鈍鋸歯があり、葉軸に翼をつける特徴があります。 花期は８～９月、枝先の円錐花序に黄白色の小さい花を沢山つけます。 雌雄異株で、花弁は５個、雄花の花弁は反り返り、雄しべ５本が突出します。 雌花は雌しべと退化した雄しべ５個があり、花弁は反り返らないため、雌雄の花序は様子が異なります。

雄花

ヌルデ 広義　Rhus javanica （ 左から ） 雌花序 ／ 雄花序　撮影・東京都薬用植物園、他

果実は直径４～５mmの扁平な球形で 、熟すと表面に塩味のある白い分泌物がつきます。 ヌルデ の葉軸などに、ヌルデシロアブラムシが寄生すると、袋状の不定型な虫えい （ "えい" は、嬰に病だれ ） ※２ をつくります。 この虫えいを乾燥したものが五倍子 （ ゴバイシ、またはフシ ※３ ともいう ） になります。 多量のタンニンを含有し、抽出精製される タンニン酸 [ 局 ] は、収斂の作用があり、止瀉や止血、鎮咳、うがい薬などに用いられます。 医薬品以外の用途としては、皮なめしや、青インクの原料に利用されます。

ヌルデ　（ 左から ）　葉 ／ 果実 ／ 虫こぶ

※１ パイオニア植物 （ 先駆植物 ） ： 倒木などで環境の変化が起きると、他に先駆けて出現する植物をいう。 生長は早いが、他の樹木が成長して陽当りが悪くなると枯れる。 ヌルデの種子の発芽能力は、林床にあって２０年以上といわれる。 ※２ 虫えい ： （ ちゅうえい ） 昆虫に産卵されたこと等により、組織が異常に膨らむ こぶ状の突起のことで、虫こぶともいう。 寄生昆虫の種類に、特徴ある形になる。 ヌルデシロアブラムシがヌルデに作る 虫こぶは、ヌルデミミフシという。 ※３ フシ ： 付子と書くこともあるが、トリカブトも附子 （ 付子、読みはブシ ） なので注意が必要。 お歯黒は、五倍子 （ ふし、ごばいし ） を粉末にした五倍子粉 （ ふしのこ ） と、お歯黒水を使用して染めた。 狭義のヌルデ Rhus javanica var. chinensis 属名：Rhus 、ウルシのギリシャ名 由来。 種小名：javanica 、ジャワ島の という意味 変種名：chinensis 、中国の という意味 2006.11.-2020.04.-2025.04.28.Re 参考書籍 「 ワイド図鑑 身近な樹木 」、「 琉球の樹木 」、「 新訂生薬学 」

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