| カタクリ 片栗 ／ セイヨウカタクリ （ ユリ科カタクリ属 ） |
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カタクリ 片栗 は、北海道から九州までの落葉広葉樹林などの明るい林床に群生します。
古名をカタカゴ ※１といい、発芽してから、初めの数年間は１葉を出すだけの生活サイクルで過ごします。
葉は地面近くに展開し、葉身は長楕円形で長さ６～１２cm、長い葉柄があります。
質は柔らかく厚みがあり、全縁、多くは暗紫色の不規則な斑が入ります。
地下のりん茎は円柱状で、養分が蓄えられると２葉になって、初めて花茎を出します。
実生から開花までおおよそ７～８年かかるため、乱獲されると回復まで長い時間が必要です。 春植物のひとつで、花期は３月末から４月初め、花茎は１０～１５cmの高さで、茎頂に１輪の花を下向きにつけます。 晴れた日に開いて、夜間や曇天、雨天には閉じています。 花は淡い赤紫色で直径は４～５cm、花被片は６個あり、基部にはＷ字形の暗紫色の模様がつき、先は強く反転します。 おしべは６個で葯は暗紫色、めしべは１個、淡い赤紫色を帯び、雄しべより先まで突出し、柱頭はわずかに３裂します。 ※１ カタカゴ ： もののふの 八十乙女らが 汲みまがふ 寺井の上の 堅香子の花 ／ 万葉集 大伴家持 |
カタクリ 片栗 Erythronium japonicum 撮影：東京都薬用植物園、他 |
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果実は蒴果で、３室あり、開花後２ケ月ほどで熟します。
種子は楕円体、アリが好む付属体 （ 種枕 ※２、エライオソーム ） がついて、真下に落ちます。
蟻はエサ （ 種枕 ） と一緒に種子を運び、種子そのものは食料にしないため、後に放置されることで、親株から離れて播種されることになります。
５月中旬ころから、地上部は枯れて、りん茎は休眠に入ります。 ※２ 種枕 ： （ しゅちん ）、脂肪酸や糖分を含みアリが好む。 eliosome ( 脂肪体、elaion = oil 、soma = body ) という。 |
りん茎 植栽品 ／ 果実 ／ 種子 |
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カタクリ の蕾と若い葉茎は、山菜として、おひたしなどで食べることができます。
右・山菜の生産者によれば来年も採れるように調整しながら採るとのこと。 小さなりん茎から採れるデンプン質は、昔は片栗粉として利用しました。 現在の片栗粉は、簡単に得られるバレイショデンプンを原料としていて、片栗粉の名称だけが残っています。 |
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カタクリ の分類は、初め ① 北アメリカ種と同じとされ、次に ② ヨーロッパ種と同種説 → 見直しで変種に Erythronium dens-canis var. japonicum ③ 独立種説 E．japonicum Decne（1865年） 牧野富太郎が独立種と発表したのは（1907年）のこと。 属名：Erythronium 赤 erythros という意味。 花が赤紫色のヨーロッパ種につけたもの。 種小名：japonicum 、日本の という意味。 参考書籍等 「 野草図鑑 ゆりの巻 」、「 野草の名前・春 」、 「 ワイド図鑑 身近な野草・雑草 」、「 京都府下の山野草 」 |
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セイヨウカタクリ は、ヨーロッパ産のカタクリで、草丈は１０～２０cmほどになります。 対生する２葉からなり、葉身は卵形で長さは１０cmほど、厚みがあって全縁、花期の不規則な暗紫褐色の斑はコントラストがはっきりして目立ちます。 斑模様は、花後に薄くなるのは、カタクリと同様です。 花期は３月～４月、花茎の先に赤紫色の花をひとつ下向きにつけ、花被片６個は初め平開して、後に強く反転して、花径は４～５cmになります。 花被片基部の模様は、くすんだ黄色で、雄しべは６個、葯は紫色、雌しべは全体に白色、柱頭はカタクリ同様に３裂し、わずかに雄しべより先まで伸びます。 なお、北アメリカ産の黄色い花のカタクリをセイヨウカタクリと称することもあります。 |
セイヨウカタクリ Erythronium dens-canis 撮影・東京都薬用植物園 |
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種小名：dens-canis 、歯 dens ＋ 犬 canis、 りん茎が犬の歯に似ているとしての命名。 以前、 参考書籍等 三河の植物観察 https://mikawanoyasou.org/data/katakuri.htm、他 |
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北米には、いくつか黄色い花を咲かせるカタクリの種類があり、通称 キバナカタクリ ※３ として流通しています。
園芸品種としては、パゴダ Erythronium tuolumnense ’Pagoda’ や コンド－ E．tuolumnense ‘Kondo’
（ 右・画像 ） などが出回っています。
どちらも北アメリカ産の E．ツオルムネンセ E．tuolumnense と他種の交雑による品種です。 ※３ キバナカタクリ ： 本来は、E．grandiflorum を指す和名。 パゴダ は草丈２０～５０cmになり、葉身は楕円形で長さは草丈と同じくらい、淡い暗紫色の斑があります。 |
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花期は４月ころ、黄色の花を下向きにつけ、花茎が枝を分けて２～４輪つくこともあります。
花被片は６個で、先は弧を描いて反転し、花被片基部の模様はくすんだ赤色になります。
雄しべは６個で葯は黄色、雌しべは白色、柱頭は３裂します。
栽培も、増やすことも容易とされる品種で、日本のカタクリとは印象が異なります。 種小名：tuolumnense 、カリフォルニア州トゥオルミ郡の Tuolumne County の意味。 品種名：Pagoda 、仏塔 という意味。花の形からとされる。 2005.-2009.-2014.-2021.03.-2025.11.28.Re 参考書籍等 GKZ花図鑑 https://gkzplant.sakura.ne.jp/souhon2/shousai2/a-gyou/e/eritoroniumupagoda/eritoroniumupagoda.html 「野山の草花・木々の花」植物検索図鑑 http://momo1949.3zoku.com/index2/index.shtml |
パゴダ Erythronium tuolumnense’Pagoda’ 撮影・東京都薬用植物園 |
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