バニラ （ ラン科バニラ属 ）

バニラ は、熱帯アメリカを原産とする常緑のつる性着生ランです。 茎は緑色で１cmほどあり、節から根を出して、周囲の樹木などに付着して登り、茎の長さは１０ｍを超えます。 葉は互生し、葉身は長楕円形で長さ１０～２０cm、全縁、先は尖り、肉厚、表面は緑色で滑らかです。

春から初夏にかけ、葉腋から総状花序を出し、基部側から順に２０～３０個の花を咲かせます。 内花被３個のうち、ひとつが大きくなり、両側を巻き上げて筒状の唇弁となります。 唇弁の先端は小さな歯牙になり、側部は横に開き、下部は下垂します。 残りの内花被２個と外花被３個は、卵状披針形になって５弁花風に唇弁を囲みます。 花被は肉厚で、花径は５～８cm、淡緑色から黄緑色をしています。 花は早朝に開き、夕方には萎む１日花です。 バニラの花に香りはなく、果実が完熟して発酵することにより、初めて芳香を放ちます。 果実は長さ１５～３０cmの細長い円筒形をした蒴果 バニラビーンズ Vanilla beans で、サヤには大量の細かな種子が入ります。

バニラ Vanilla　planifolia 撮影：板橋区立熱帯環境館、他

香り立つ バニラビーンズ の生産には、発酵工程に労力と時間を要します。 ① 完熟前の果実を採取し、② 湯に数分漬けてから保温、③ 日に１～２時間の陽乾、また保温という発酵と乾燥の工程を、２～３週間繰り返し行います。 初め黄緑色の果実が、乾燥して艶のある黒紫色になると、強い芳香を放つ バニラビーンズ になります。 高価であることから、多くはバニラエッセンスやオイルの形で利用されます。 バニラアイスクリームなどの食品香料として、多くの製品に使われています。 属名：Vanilla 、スペイン語 Vaina （ 小さな ） サヤ という意味。 種小名：planifolia 、扁平な、平板状の plan～ ＋ 葉 folia から、扁平な葉の という意味。 2012.-2021-2022.10.-2025.04.12.Re 参考書籍等  「 新訂生薬学 」、 山科植物資料館 https://yamashina-botanical.com/botanical/

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