ヤブカラシ 藪枯 （ ブドウ科ヤブカラシ属 ）

ヤブカラシ 藪枯 （ ヤブガラシとも ） は、日本では北海道南部から沖縄に分布し、空き地や川原などに生えるつる性の多年草です。 手入れをされている庭では少ないことから、別名ビンボウカズラ （ 貧乏蔓 ） ともいわれます。 名前の通りに、藪を枯らしてしまうような勢いで繁茂し、他の植物に覆いかぶさります。 地下茎が長く横に這い、抜きとっても残った一部の地下茎から芽を出すため、畑地に入ると根絶が難しい強害草になります。 茎（つる）には稜があり、長さは５ｍほど、葉と対生につく巻きひげが、他の植物などに巻きついて登ります。 葉は互生する鳥足状複葉で、小葉は５～７枚つき、頂小葉は大きく狭卵形で長さ４～１０cm、側小葉は卵形です。 小葉の先は尖り、浅い鋸歯があり、表面は深緑色でややつやがあります。 ヤブカラシは亜熱帯の植物で、日本はその北限にあたり、鳥足状複葉を持つものは少なく （ 他はウリ科のアマチャヅルくらい ）、葉だけで同定できるほど特徴的です。

ヤブカラシ 藪枯 Cayratia japonica 撮影・東京

花期は６～８月、集散花序に花径５mmほどの小さな花を多数つけます。 花弁は４個、淡緑色で開花すると反転し、橙赤色の花盤には、４本の雄しべと１本の雌しべがあります。 開花直後は雄性期で花盤中央の雌しべは短く、数時間経って花弁と一緒に雄しべが落ちると、花柱が伸びて雌性期になります。 橙赤色の時期は花盤に蜜が出て送粉者を誘い、アオスジアゲハやハチ類などがよく訪れます。 花が終期になると、花盤の色がピンク色に変わります。

左から、花の 雄性期 ： 雌性期 ： 終期

果実は、球形でつややかに黒く熟します。 関東を含む広い範囲に分布するものは、三倍体の ヤブカラシ といわれます。 そのため関東地方以北では、結実は少なく、一方、関西方面では普通に果実を見ることができ、二倍体が分布しているためとされます。 属名：Cayratia 、ベトナムの地元名由来。  ヤブカラシ属の一種 Cayratia geniculata を、地元で cay rat と呼ぶことから。 種小名：japonica 、日本の という意味。 2005-2015-2020.07-2025.02.16.Re 参考書籍  「 野草図鑑　つる植物の巻 」、「 京都府下の山野草 」、「 ワイド図鑑 身近な野草・雑草 」、「 日本原色雑草図鑑 」

小葉５枚と７枚の葉 ／ 黒い果実は滋賀県にて

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