キキョウ 桔梗 （ キキョウ科キキョウ属 ）

基原植物名 キキョウ

生薬名 キキョウ （ 桔梗根 ） [ 局 ]

用途 漢方薬、食品

キキョウ 桔梗 は、東アジア地域に分布する多年草で、日本では自生のものが少なくなり、絶滅危惧種になっています。 陽当たりの良い草原などに生育し、草丈は５０～１００cmになり、秋の七草 ※１ のひとつとしても知られます。 草丈の割に大きな花をつけることから、観賞用でも人気があります。 茎は叢生して直立し、葉は互生か輪生して、葉身は長楕円形～披針形、長さは４～７cmあります。 葉の先は尖り、基部は広いクサビ形、ふつう無毛で、表面はやや白みを帯びた緑色、葉縁には鋭い細鋸歯があります。 茎や葉は切ると白色の乳液をだし、葉柄はごく短いか無柄です。 花期は盛夏を中心に秋まであり、茎頂や葉腋に、白色や青紫色の広い鐘状の花をつけます。 花冠の先は５裂して裂片は尖り、直径４～５cmの星形になり、雄しべは５個、雌しべは１個の雄性先熟の両性花です。 開花直後の雄性期には、雄しべは雌しべの周りにつき、花粉を出します。 やがて雄しべがしおれて倒れると、それまで閉じていた柱頭が５裂して開き、雌性期になります。 子房下位でガク片は５個、針形で厚みがあります。 果実は蒴果で球形状になり、９月～１０月に熟すと先が５裂します。 種子は多数、楕円形で黒色、艶があります。

キキョウ 桔梗 Platycodon glandiflorus

薬用部位の根は、生薬名をキキョウ （ 桔梗根の３文字 ） といい、太く黄白色で、オタネニンジンに似た外観をしています。 キキョウサポニンなどを含み、鎮咳、去痰、鎮静、鎮痛などの作用があります。 漢方処方や製薬原料に用いられていますが、溶血作用もあるので、用法容量を守ることが必要です。 和名の キキョウ は、漢名の桔梗 （ きちこう ） を音読みにしたものとされます。 古名 アリノヒフキ （ 和名類聚集では、阿里乃比布木 ） は、蟻がかじった箇所の花弁が蟻酸により赤くなることから （ 他説もあり ）、 英名 balloon flower は、風船のような形の蕾に由来します。

シロギキョウ 白桔梗 P．grandiflorus f．albiflorus

キキョウ 風船のような蕾 ／ ５裂した果実 東京都薬用植物園にて

※１ 秋の七草 （ 七種 ） ： 萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 おみなえし また藤袴 朝顔の花　（ 万葉集　巻8の1538 ） 万葉集にある山上憶良の有名な歌が 「 秋の七草 」 の始まりとされる。 万葉集には他にも 「 アサガオ 」 の歌があり、花の描写をまとめると、① 秋の野で、② 目立ち、③ 朝も夕方も （ 一日中 ） 咲いているとなる。 現在の アサガオ が渡来したのは、もう少し後の時代とされる。 当時も野にある キキョウ を指しているとするのが有力説である。 他説もある。 属名：Platycodon 、広い platy ＋ 鐘 codon から、広がった釣鐘の という意味。 種小名：grandiflorus 、大形の、偉大な grandis ＋ 花々 flores から、大きな花の の意味。 品種名：albiflorus 、白い花の という意味。 2004.-2013.-2021.05.-2025.11.12.Re 参考書籍 「 野草図鑑 さくらそうの巻 」、「 生薬単 」、「 野草の名前・夏 」、「 ワイド図鑑 里山・山地の身近な山野草 」  跡見群芳譜　http://www.atomigunpofu.jp/ch5-wild%20flowers/kikyo.htm

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