マテバシイ 馬刀葉椎 （ ブナ科マテバシイ （ オニガシ ） 属 ）

マテバシイ 馬刀葉椎 は、本州 （ 房総半島 ） から沖縄の温暖な沿岸地域に自生する常緑高木で樹高は１０～２０ｍになります。 街路樹や公園などに植栽されているため、本来の自生地よりも広い範囲でみられます。 幹は滑らかで、しばしば根元から枝分かれして株立ちになり、本年枝は淡緑色、２年目以降に灰褐色になります。 和名は、「 葉がマテガイ ※１ に似たシイノキ 」 の意とされますが、由来は諸説あり、またスダシイ （ シイ属 ） とは別属です。 葉はらせん状に互生して枝先に集まってつき、葉身は長さ５～２０cm、倒卵状長楕円形、先端は短く尖り、基部はくさび形です。 葉縁は全縁、厚く革質、表面は濃緑色で滑らか、裏面はやや褐色を帯びた白緑色、葉柄は長さ１～３cmです。 ※１ マテガイ ： 長さ１５cmほどになる２枚貝、参考画像のエゾマテガイはやや小型の類縁種。 花期は５月下旬から６月、新しい枝の葉腋に、長さ１０cmほどの雌雄の穂状花序を出します。 雄花の花被は皿状で６裂し、淡黄色、雄しべは１２個、花糸は花被から突出するため、雄花序は太い紐状に見えます。 虫媒花で強い香りがあります。 雌花序は、直径１cmほどの総苞内に、雌花１～３個がつき、花柱は円柱形で３個あります。 雌花は間隔を空けてつき、多くの雌花序の上部には、雄花がつきます。

マテバシイ 馬刀葉椎 Lithocarpus edulis 撮影・千葉県、茨城県

マテバシイ の果実は果皮の硬い 「 堅果 」 で、翌年の秋に熟します。 堅果は長さ２～３cmの長楕円形をして、底は少し凹み、下部は椀状の殻斗に被われます。 殻斗の直径は１．５cmほど、表面は鱗片が瓦状に重なり合う形状です。 マテバシイ の種子は、タンニンをあまり含まないため、炒るだけで食用にすることができます。

（ 左から ） まだ緑色の殻斗 ／ 堅果 ／ 炒って果皮を外した種子

マテバシイ属の国内の自生種は、本種とシリブカガシの２種です。 属名：Lithocarpus 、石 lithos ＋ 果実 carpos 、（ クリ より ） 堅果が堅いことからとされる。 種小名：edulis 、食べられる という意味。 2022.12.-2025.03.04.Re 参考書籍  「 ワイド図鑑 身近な樹木 」、「 琉球の樹木」、「 沖縄の身近な植物図鑑 」、他

２年目の夏（緑色）と、秋の果実（黄褐色）

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