トウワタ 唐綿 （ キョウチクトウ科トウワタ属 ← ガガイモ科 ）

トウワタ 唐綿 は、熱帯アメリカ原産の多年草で、南日本より北では越冬できないため、温室か１年草の扱いで栽培されます。 全草有毒で、傷をつけると白い乳液 （ 有毒 ） を出します。 茎は直立して高さ１ｍ程度になり、葉は対生し、葉身は長さ７～１３cmの披針形で全縁です。 花期は夏～秋にかけて、茎上部の葉腋から散形花序をだし、１０数個の小花をつけます。 小花の花冠は赤色、５深裂して下垂するように大きく開いて花径１cmほどになります。 橙黄色の副花冠 ※１ があり、副花冠には、つの状の付属体がつきます。 雄しべと雌しべはずい柱 ※２ になって、副花冠の内側にあり、花粉が花粉塊であることも特徴です。 ※１ 副花冠 ： 花弁の内側にあり、花弁ではないが花弁様の形をしている部分をいう。 ※２ ずい柱 ： 雄しべと雌しべが合生したもので、他にラン科が知られる。

トウワタ 唐綿 Asclepias curassavica 撮影・東京都薬用植物園、他

果実は先の尖った紡錘形で、長さは７cmほど、中に多数の種子が入っています。 種子は平たい楕円形で翼があり、白く長い種髪 ※３ がつき、風に乗って散布されます。 ※３ 種髪 ： 種子につく長い毛の束で、珠皮や胎座が起源となって変形する。 冠毛はガクの変形で果実につく。 トウワタは、渡りをする蝶として有名な オオカバマダラ Danaus plexippus の幼虫の食草としても知られます。 オオカバマダラの幼虫は食草の有毒成分を体内に蓄積して、外敵から狙われない有毒の蝶になることで種の防御を行っています。 （ 参考 ： 右画像は スジグロカバマダラ Salatura genutia、食草は有毒なイケマ属の仲間で、自身も毒の蝶になる ） 和名の トウワタ 唐綿 の 「 唐 」 は、中国のことではなく、「 外来の 」 という意味、「 綿 」は、白い種髪を綿に見立てたものです。 かつては薬用とされ、現在は吐根 （ トコン ） の代用になるといわれます。 ただし、誤って摂取すると嘔吐の他、不整脈や心臓麻痺などの症状が起こります。

（ 左 ） A．curassavica ’Silky Gold’ 京都府立植物園　／　（ 中央、右 ） 種子 東京都薬用植物園

属名： Asclepias 、ギリシャ神話の医神アスクレーピオス から。  Aesculapius アスクレピオス ※４ とも。 種小名：curassavica 、（ ベネズエラの ） キュラソ－島の 意味。 ※４ アスクレピオス ： アポローンの子、 医術で死者を生き返らせたため、冥界の王から抗議を受け、ゼウスに殺された。 後に、天に上げられ へびつかい座 となり、神の一員に加わった。 １匹のヘビが巻きついた杖を持つ形で伝えられる。 世界保健機関 ＷＨＯ の旗にも、医学のシンボルとして 「 アスクレピオスの杖 」 が描かれている。 デザイン的な理由から２匹のヘビが巻きつく杖 メディカル・カドゥケウス medical caduceus ( caduceus ： ギリシア神話の 伝令神 ヘルメス が持つ杖 ) も欧米の医療機関などで用いられている。 2013-2020.07.-2025.06.09.Re 参考書籍  「 沖縄の身近な植物図鑑 」、「 生薬単 」、「 したたかな植物たち 」、他

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