ナギイカダ 梛筏 （ クサスギカズラ科ナギイカダ属 ）

ナギイカダ 梛筏 は、地中海沿岸を原産地とする雌雄異株の常緑低木で、明治時代の初期に、観賞用として渡来しました。 国内にある個体に限れば、多くを雌株が占めているらしく、雄株 （ または両性花をつける株 ） は稀とみられます。 茎は緑色で束生し、よく分枝をして、高さ６０cmほどになり、多数の縦筋があります。 ナギイカダ の茎は、先端部が扁平な葉状枝 ※１ に変化をしています。 本来の葉は、膜質の小さい鱗片に退化していて互生し、葉腋に葉状枝をつけます。 葉状枝の長さは１～４cm、卵形で厚味があって堅く、先端は鋭い針状に、基部側は葉柄状に細くなり、やや捻じれて主茎につきます。 葉状枝が展開し成長するころには、鱗片葉は落葉します。

葉状枝と鱗片葉

花期 ※２ は１月～４月、葉状枝の中央の脈上に、直径４mmほどの小さな花を、１個ないし２個つけます。 花被片は淡い黄緑色で、楕円形の外花被片３個、披針形の小さな内花被片３個があります。 雌花には黄緑色で球形の子房があり、仮雄しべの花糸３個が、暗紫色の薄膜状になって子房を覆います。 仮雄しべの葯は、白いひだ状になって、花柱を囲みます。 雄花の雄しべは３個あり、花糸は退化した子房を囲んで筒状にまとまります （ 実際の雄花は確認できていない ）。 ※１ 葉状枝 ： 葉と茎の機能を併せ持つ器官。 葉状茎、仮葉枝、偽葉とも呼ぶ。 ※２ 花期 ： 春から夏とする記述もある。

ナギイカダ 梛筏 Ruscus aculeatusa 撮影・東京都薬用植物園

果実は球形の液果で、直径は５～１０mm、秋から冬に赤く熟します。 雌株だけでも赤い実をつけますが、単為結果 ※３ で種の入らない果実になります。 和名は、葉状枝がナギの葉に似ること、「 葉 」 の中央に花がつく様子を、ハナイカダ と同様に 筏 （ いかだ ） になぞらえたことによります。 ※３ 単為結果 ： 受精することなく果実を作ること。 セイヨウタンポポは種子を作るが、生食用のバナナにみられるように、種子ができないケースもある。

ナギイカダ 雌花と果実

属名：Ruscus 、ラテン古名とされる。 種小名：aculeatusa 、トゲのある という意味。 2023.02.-2025.05.06.Re 参考書籍  「 新牧野日本植物圖鑑 」、他 ハナイカダの花は、葉腋につく花序柄が、葉の主脈と癒合して中央部まで伸びたことにより、葉の中央付近につくもの。 葉状枝という茎につく ナギイカダ の花と同様に、「 花の元 」 は 茎 （ 葉腋 ） からでている。 葉が似るというマキ科ナギは、裸子植物の針葉樹の仲間。 広葉樹の葉に似て、先端が鈍頭になった狭卵形で、厚く革質、ナギイカダと違って触っても痛くない。

（ 左側 ） ハナイカダの花と実 ／ （ 右側 ） ナギ （ 梛 ） の葉と実

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