ジンチョウゲ ／ コショウノキ

ジンチョウゲ科 ジンチョウゲ属

ジンチョウゲ科は、国内の自生種が少ないグループで、科名を代表するジンチョウゲも中国からの移入種です。 一般的に樹皮の繊維が強く、別属の ミツマタ のように、紙すきに利用されるものもあります。 雌雄異株で、果実等が有毒であることが多いのも特徴です。

ジンチョウゲ （ 沈丁花 ） は、中国南部が原産とされる高さ１ｍ程度の常緑低木です。 庭木としてよく利用され、室町時代には「沈丁花」の記録がありますが、日本への渡来時期は不明です。 また、広く植栽されているため、自然な分布域の詳細や原産地は不明です。チンチョウゲと呼ばれることも。 葉は互生ですが、茎頂付近では、ほとんど放射状につきます。 葉身は長楕円形から細い倒卵形、全縁で質は厚く、革質で光沢があります。 ２月末から４月にかけて、枝の先に小花１０～２０個程度の花序をつけます。 花に花弁はなく、筒状のガクの先端部分が４裂して広がり、肉厚の花弁状になります。 ガク筒は無毛で、外側は濃紅色から紅紫色、内側は白色から淡紅色をしています。 園芸品種では、ガクが白色や淡い紅色のものもあります。 花には強い芳香があり、沈丁花の名前は、その芳香に由来し、沈香 （ じんこう ）※１ と 丁子 （  チョウジ  ）の香りをあわせ持つ花としてつけられたとされます （ 他説あり※２ ）。 ジンチョウゲ の果実 （ 毒性がある ）はやや楕円体をしていて赤く熟します。 雌雄異株とされ、結実するのはごく稀です。雌雄の花は似ていて、結実しない株の花にもしっかりとした子房があるため、見た目で判別するのは困難です。 近年では園芸店でも雌株と区別してして販売されることもありますが、雄株とは数倍の価格差がついています。 属名：Daphne ※３ 、月桂樹のギリシャ名で、葉が月桂樹に似ているとして転用。 種小名：odora 、芳香のある、香りの良い という意味 ※１ 沈香 ： ジンチョウゲ科ジンコウ属 のジンコウ Aquilaria agallocha などから採取する香木のひとつで、東洋では最も珍重される。 元来は、土中に埋もれた材部の樹脂の多い部分が残ったもので、熱すると芳香を放つ。樹脂により比重が増し、水に沈むくらい重いので「沈水香木」といわれ、そこから「沈香」といわれた。 薬効成分の詳細は不明ながら、精神を落ち着かせる作用があるとされる。 ※２ 他説 ： 花（つぼみ）の形がチョウジに似ているからとする説もある。 ※３ Daphne ： ギリシャ神話で、女神 ダフネ （ ダプネー ）は、 アポローンの求愛から逃れるために、月桂樹に姿を変えた。

ジンチョウゲ（沈丁花） Daphne odora Thunb. 撮影・東京都

コショウノキ （ 胡椒の木 ） は、暖地のやや湿り気のある林床に自生する常緑小低木です。 一見、ジンチョウゲに似て、白花のジンチョウゲと混同されていたこともあります。別名 ヤマジンチョウ。
雌雄異株で、樹高は１ｍ程度まで、枝はやや疎らです。 葉は互生、質はジンチョウゲほど厚くなく柔らかで、葉身は長楕円形、全縁で表面には光沢があります。 花期は、２～４月、枝先の花序に、芳香のある数個から１０個の小花をつけます。 花に花弁はなく、ガク筒の先端部分が４裂して、白い花弁のように広がります。ガク筒の外面は白く、ジンチョウゲと違い短い細毛がみられます。 果実は、長さ1cmほどの楕円形で、６～７月頃に赤く熟します。名前の由来は、果実が胡椒のように辛いことから（有毒です）。 香辛料のコショウ （ ペッパー ）は、コショウ科の全く別の植物の果実です。 種小名：kiusiana 、九州の という意味。 2014.03.01-2020.04.Re	シロバナジンチョウゲ Daphne odora 'Alba'

コショウノキ Daphne kiusiana Miq． 撮影・東京都薬用植物園

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